働き方改革により、常勤職員が100人を超える大規模の職場には、月45時間、年360時間までという残業時間の上限規制が定められた。この規制に反した場合、罰則が適用されてしまう。ただし、上限を超えた残業は全面的に禁止される訳ではなく、やむを得ない事情があれば年6回まで認められるという緩和規定もある。また、全ての職場で年5日の年休取得が義務付けられた。さらに、勤務間インターバルも11時間以上確保することが努力義務となった。勤務間インターバルとは、退勤してから出勤するまでの時間のことである。勤務間インターバルが短いと、十分な休息が取れず疲労が溜まったまま勤務を繰り返すことになってしまう。こうした改革は、看護師にとって大きな意味を持つと言えるだろう。医療業界においては看護師不足が懸念されており、かなりの現役看護師は激務の状態で過酷な労働環境で働いてきたのだ。退勤時間が迫ったからといって、緊急措置の必要な患者が来院すれば、対応を怠り帰宅する訳にはいかないから、どうしても看護師の残業時間は増えてしまう。

また、看護師不足から代替要員が十分でないため、年休の消化や勤務間インターバルの確保も容易ではなかった。このような厳しい環境の下で勤務継続が困難になり、離職した看護師も少なくないのだ。看護師資格を有しながら臨床現場で仕事をしていない看護師は、潜在看護師と呼ばれている。このような潜在看護師を減らし現役看護師を増やすためにも、働き方改革に寄せられる期待は大きい。さらに、こうした労働条件の改善だけでなく、看護師不足解消のために、夜勤免除や短時間労働が可能な正規職員の雇用など新たな施策が提案されている。このように、看護師の働き方改革はまだまだこれから進んでいくと考えられる。